司法書士試験の難易度は難しい?合格率や独学が難しい理由も解説
司法書士試験の合格率は例年3~5%と低く、最難関の国家資格のひとつとなっています。
司法書士試験の突破を目指す方にとっては、合格率や独学でも合格を目指せるのかは気になるポイントではないでしょうか。
そこで本記事では、司法書士試験の具体的な難易度について解説します。
他の資格試験と比較したときの難しさも紹介するので、これから司法書士試験の学習を進める方は参考にしてください。
基本的に独学で合格するのは困難なので、通信講座や予備校利用も検討しましょう。
目次
司法書士試験の難易度はどれくらい?
司法書士試験の難易度について、以下4つの観点から解説します。
- 合格率
- 勉強時間
- 知恵袋やXの体験談
- 大学偏差値での例
合格率は年度によっても異なるため、あくまでも目安として捉えてください。
合格率から見る司法書士試験の難易度
司法書士試験の合格率推移は以下の通りです。
年度 | 合格率 |
---|---|
令和6年度 | 5.3% |
令和5年度 | 5.2% |
令和4年度 | 5.2% |
令和3年度 | 5.1% |
令和2年度 | 5.2% |
直近5年は約5%で推移しており、ごくわずかの方しか受からない難関資格となっています。
合格率が低い理由は後ほど解説しますが、試験範囲が広く学習時間が膨大で、税理士試験のような科目合格を積み重ねていく形式ではないことが挙げられます。
勉強時間から見る司法試験の難易度
司法書士試験の合格に必要な勉強時間は、3,000時間程度とされています。
1日8時間勉強しても1年程度かかり、働きながら毎日5時間勉強して2年弱かかる計算です。
長期に渡って学習計画を経てる必要がある点も、司法書士試験の難易度が高い理由となっています。
通信講座や予備校を利用すると、学習ノウハウがあるため効率よく学習を進められるので検討しましょう。
知恵袋やXの体験談から見る司法書士の難易度
Yahoo!知恵袋やXの体験談から見えてくる、司法試験の難易度に関する評判は以下の通りです。
司法書士試験に合格するための試験範囲は膨大で、しかも難解なものが多いですね。最小限度要求される知識は膨大です。しかも司法書士試験の場合、単なる丸暗記は不可能です。
引用元:Yahoo!知恵袋 ※一部抜粋
試験範囲がとにかく広く、問われる知識自体も難解な点が、難易度を上げる原因となっています。
3万2千人も受験して900人くらいしか合格できない試験ですよ。
司法試験と比較するから見劣りがするだけで、たとえば司法書士試験よりもはるかに劣る行政書士試験すら合格できない人が何万人もいるのですから、それから見ればまさに雲の上の人だと思います。
引用元:Yahoo!知恵袋 ※一部抜粋
司法書士試験は合格率の低さから、難易度の高い試験と認識しましょう。
司法書士は3%未満の合格率ですが
実は受験資格の制限が無く、実力が無くても受けられ、
予備校の人が問題だけ欲しいから受けるとか
現役の司法書士が受けたりしていますので、
20パーセントくらいの合格率ですよ。
引用元:Yahoo!知恵袋 ※一部抜粋
司法書士試験の合格率の低さは、受験資格が無いことも要因のひとつです。
記念受験や問題の入手など、さまざまな理由で試験を受ける方が発生するため、学習した方だけに絞っていえばもう少し合格率は上がると推察されます。
受験初年度はかなり舐めた態度で挑んで落ちました。ただ、ギリギリ落ちたため、やはり舐めたままでした笑。そんなテンションで受けた2年目は1年目よりもバッチリ成績は悪くなり、そこで初めて焦って合格したのが3年目です。
引用元:X
こちらの口コミにもある通り、受験資格が無いことで受験のハードルが下がっており、数値上の合格率を下げる原因となっています。
司法書士組が予備の民事短答で高得点たたき出していた理由が理解できた。
司法書士択一難しすぎる。
予備短答民法今年は満点だったけど、この択一の問題集やると、半分も正解できない。
引用元:X
司法書士の択一式試験も難易度が高いため、綿密な学習計画と理解が必要です。
司法書士難しすぎる、、
合格できる気が全くしない
引用元:X
まずは過去問などを解いてみて、難易度を体感してみましょう。
長期に渡る学習が必要なことを念頭において取り組むことが重要です。
司法書士試験の難しさを大学偏差値でたとえると
資格試験と大学入試を同列に捉えることは困難ですが、東大の入試よりも難しかったという方もいるので、偏差値68以上と考えるとよいでしょう。
たとえば、以下のような口コミも見受けられます。
私の知り合いに東大法学部卒の方がいますが、東大の入試よりも難しかったし、苦労したと言ってましたよ。
また司法書士の予備校講師で有名なヤマモト先生も東大卒ですが、自らの著書で東大の入試よりも司法書士試験の方が遥かに難しいとはっきり書いてました。
早慶レベルからマーチレベルではないでしょうか。
言いかえれば、下位地方旧帝大学から、横国大レベル程度。
確かに、司法書士試験は難関だと思います。
しかしながら、問題一問一問は司法試験の論述に比べれば簡単です。
引用元:Yahoo!知恵袋 ※一部抜粋
司法書士試験の学習内容と入試問題の学習内容は全く異なるため、計画を立てて取り組めば誰でも合格を目指すことは可能です。
難易度の高さにとらわれ過ぎると、心理的なハードルが上がってモチベーションを維持するのが難しくなります。
毎年数百人は合格者がいるため、決して合格が不可能な試験ではないと考えることもできます。
他の資格と比較した司法書士試験の難しさ
他の資格と比較した司法書士試験の難しさを、以下の3つから解説します。
- 行政書士と司法書士の違い
- 司法試験(弁護士)と司法書士の違い
- 難関国家資格の難易度ランキング
ポイントとしては、一概に合格率だけでは比較できない点です。
学習時間の長さや、科目合格制度、受験資格の有無など、さまざまな要因で難易度が変わります。
社会人の方なら「長い時間をかけて1科目ずつ合格を目指せる税理士などは比較的取り組みやすい」など、ライフスタイルによっても向き不向きがあるため、参考にしてください。
行政書士と司法書士の違い
資格 | 司法書士 | 行政書士 |
---|---|---|
合格率 | 約5% | 12%前後 |
学習時間の目安 | 3,000時間 | 800時間 |
取得要件 | 以下のいずれにも合格 ・午前:択一式 ・午後:択一式/記述式 | 択一式・選択式・記述式の試験に合格 |
受験資格 | 無し | 無し |
試験頻度 | 年1回7月ごろ | 年1回11月ごろ |
資格取得後のキャリア例 | ・司法書士として独立 ・企業の法務部に就職など | ・行政書士として独立 ・企業の法務部に就職など |
司法書士と行政書士で比較すると、難易度としては司法書士の方が高くなります。
行政書士の場合、学習時間の目安は司法書士の半分以下で、かつ合格率も高いことから明らかです。
ただし、それでも合格率は12%前後と難関であることに変わりはありません。
簡単な試験ではないので、行政書士の受験を検討している方も油断せず学習を進めましょう。
司法試験(弁護士)と司法書士の違い
資格 | 司法書士 | 弁護士 |
---|---|---|
合格率 | 約5% | 約40% |
学習時間の目安 | 3,000時間 | 8,000時間 |
取得要件 | 以下のいずれにも合格 ・午前:択一式 ・午後:択一式/記述式 | 短答式と論文式の両方に合格 |
受験資格 | 無し | 法科大学院修了または予備試験への合格※5年間有効 |
試験頻度 | 年1回7月ごろ | 年1回7月ごろ |
資格取得後のキャリア例 | ・司法書士として独立 ・企業の法務部に就職など | ・弁護士として独立 ・弁護士事務所への就職など |
国内でも最難関レベルの弁護士試験(司法試験)ですが、合格率の高さを意外に感じたのではないでしょうか。
ただし、合格率が高いからといって司法書士試験よりも簡単ということではありません。
必要な学習時間は8,000時間が目安で、司法書士試験の倍以上となっています。
そのため単純な比較はできませんが、弁護士試験の方が合格までの道のりは険しいと考えられます。
合格率が高いのは、受験資格があるため受験者のほとんどが前提となる基礎知識を身に着けているためです。
司法書士試験に受験資格はないため、受験するためのハードルが低く、記念受験者などもいることが合格率を下げる要因となっています。
とはいえ、どちらも難関資格であることに変わりはない点は押さえておきましょう。
難関国家資格の難易度ランキング
難関国家資格の難易度ランキングを紹介します。
合格率と必要な学習時間の目安から独自にランキング化しました。
年度や向き不向きなどによっても異なるので、目安として捉えてください。
順位 | 資格 | 学習時間の目安 | 合格率 |
---|---|---|---|
1位 | 司法試験 | 8,000時間 | 40% |
2位 | 税理士 | 4,000時間 | 15% |
3位 | 司法書士 | 3,000時間 | 5% |
4位 | 弁理士 | 3,000時間 | 6% |
5位 | 公認会計士 | 3,000時間 | 7% |
6位 | 中小企業診断士 | 1,000時間 | 4% |
7位 | 社労士 | 1,000時間 | 6% |
8位 | 土地家屋調査士 | 1,000時間 | 8% |
9位 | 行政書士 | 800時間 | 12% |
10位 | 宅建士 | 400時間 | 10% |
医師国家試験や、国家公務員や裁判所など公務員関連などは省いています。
あくまでも学習時間が長く、必要な知識の量を基準としたランキングなので、人によって少し異なるケースもあります。
税理などは一度合格した科目は生涯有効なので、体感的な難易度は司法書士より簡単と感じる方もいるでしょう。
どの資格取得を目指すかは、学習時間と合格率などから総合的に判断してください。
司法書士試験を独学で合格するのが難しい理由
司法書士試験を独学で合格するのが難しい理由は、以下の3つの理由が考えられます。
- 試験範囲が広く、長期間の学習計画が必要だから
- そもそも科目によっては市販テキストがほぼ無いから
- 記述式試験が難問で添削が不可欠だから
試験は年に1回しか行われないため、落ちて翌年の再受験にならないよう、通信講座などで手堅く合格を目指すのがおすすめです。
試験範囲が広く、長期間の学習計画が必要だから
司法書士試験は試験範囲が広く、長時間の学習計画が必要となります。
司法書士試験の試験範囲は以下の通りです。
- 民法
- 不動産登記法
- 商法・会社法
- 商業登記法
- 民事訴訟法
- 民事執行法
- 民事保全法
- 供託法
- 司法書士法
- 憲法
- 刑法
均等に出題されるわけではないものの、法律に関連する知識を網羅的に学習する必要があります。
学習時間は3,000時間以上が目安となり、重要度が高いものに比重をかけて勉強すると効率的です。
独学では配分などが分からないため、過去のノウハウを持つ予備校や通信講座の利用をおすすめします。
そもそも科目によっては市販テキストがほぼ無いから
司法書士試験のテキストは、科目によっては市販テキストがほとんど無く、学習が難しいケースもあります。
民事保全法や供託法など、いくつかのマイナー科目は独学ではテキストの入手が難しいため注意してください。
通信講座などであれば、ひと通りの過去問や演習問題が提供されるので安心して学習が進められます。
記述式試験が難問で添削が不可欠だから
司法書士試験には記述式試験があり、問題文を読んで登記書類を作成する問題などが出題されます。
問題文や、登記事項証明書などの複数の参考書類を見て記述していきますが、択一式とは異なり明確な採点基準が無いため自身での添削が困難です。
過去問などの実績にもとづいて添削できる予備校や通信講座との大きな違いなので、少なくとも記述式は通信講座などを活用しましょう。
司法書士試験に関するよくある疑問
司法書士試験に受からず人生狂う人っているの?
何をもって人生が狂うと表現するかですが、難易度の高さゆえに何度も試験に落ちる方はいます。
司法書士試験を受けるために仕事を辞めてしまったり、目標を決めずズルズルと勉強したりといったことはリスクがあるため注意してください。
基本的には、働きながら学習するか、期間を決めて学習する分には問題ないといえるでしょう。
1年や2年などの短期合格はできる?
司法書士試験に1年程度の学習で合格する方もいます。
ただし、実務などから基礎知識があったり、予備校などで効率的に学習したりと理由はさまざまです。
一般的な学習時間の目安は3,000時間程度なので、1日5時間の勉強だと2年弱程度かかる計算です。
無理な短期合格を目指して焦り過ぎず、かつ目標を定めて学習を進めるのがよいでしょう。
どうしても短期での合格を目指す場合は、予備校や通信講座でポイントを押さえて学習していくことが重要です。
働きながらでも合格できる?
働きながら司法書士試験に合格することは可能です。
学習時間をいかに確保するかがポイントなので、2年程度の学習期間を目安に取り組むのがポイントです。
働きながら合格するためのコツは、以下の記事でも詳しく解説しています。
司法書士試験は難易度の高い難関資格なので通信講座などで学習しよう
本記事では司法書士試験の難易度について解説しました。
司法書士試験は合格率5%の難関資格で、国家資格の中でも特に取得が難しい資格のひとつです。
ただし、司法書士試験には受験資格がないことが合格率を下げる要因のひとつと考えられています。
受験資格がある司法試験などは、学習時間だけでいえば司法書士試験の倍程度が目安ですが、受験者の多くが知識を持った状態で受験するため合格率が高くなっています。
合格率の数値だけにとらわれず、長期の学習計画を立てて取り組むことで合格を目指せるでしょう。
試験範囲が膨大な点や、記述試験の自己採点の難しさから独学での学習は困難なので、予備校や通信講座を活用するのがおすすめです。