社労士とのダブルライセンスにおすすめの資格は?不要なケースやデメリットも解説


労働関連の法律や社会保険に関するスペシャリストである社会保険労務士(以下、社労士)。
他の資格と合わせてダブルライセンスを取得しようとする方も多い人気の資格です。
そこで本記事では、社労士資格とのダブルライセンスにおすすめの資格を解説します。
社労士資格を取得して次に何の学習を始めようか迷っている方や、独立時に社労士資格と合わせて持っていると役立つ資格が知りたい方はぜひ参考にしてください。
ダブルライセンスが不要なケースもあるため、計画的に学習を進めましょう。
これから社労士資格の取得を検討する方は、以下で解説する通信講座の利用がおすすめです。
目次
社労士でダブルライセンスが不要なケースやデメリット
以下のようなケースでは、社労士資格でのダブルライセンスが不要になる場合があります。
- 独立後の集客手段が他士業からの顧客紹介である場合
- 40代以上で未経験の資格へのチャレンジの場合
- 資格勉強を楽しいと感じられない場合
ダブルライセンスを取得する目的がはっきりしていない場合は、本当に必要かをよく検討してください。
独立後の集客手段として他士業からの顧客紹介を考えている場合
ダブルライセンスがデメリットとなるケースとして、独立後の集客手段が他士業からの顧客紹介になる場合です。
たとえば、知り合いの行政書士から社労士業務が必要なお客さんを紹介してもらうと仮定したとき、社労士資格のみを持っている場合は、特に問題なく紹介してもらえます。
しかし、自分が行政書士とのダブルライセンスだった場合、相手からすれば競合になり行政書士業務の顧客を取られるおそれがあるため、紹介してもらいにくくなるでしょう。
ダブルライセンスが弊害となる可能性があるため、注意してください。
40代以上で未経験の資格へのチャレンジを考えている場合
40代以上の方で、未経験業種の資格に新たにチャレンジを考えている場合は注意が必要です。
資格を取得してもただちに仕事や年収につながるわけではなく、実際のキャリアも重要になります。
そのため、明確にダブルライセンスを取得する目的が無い場合は、資格の勉強時間に充てるよりも実際の業務経験を積む方を優先しましょう。
複数の難関資格を取るのはかなり労力がかかり、社労士も1,000時間程度の学習が必要とされています。
社労士資格1本でも活躍している人は多くいるため、40代以上なら社労士の業務内容に精通することを考えた方が、将来的な仕事にはつながりやすくなる可能性があります。
資格勉強を楽しいと感じられない場合
社労士資格を取ることに苦労した、資格の勉強が苦痛だったという方は、ダブルライセンスの取得はおすすめできません。
ダブルライセンスを取る人には、資格のための勉強をするのが楽しいと感じる人も多く、モチベーションの差で競争で勝つのが難しくなります。
明確に資格取得の目的意識があれば問題ありませんが、将来の収入アップにつなげるため、念のため取得しておこうという感覚だと途中で挫折するおそれがあります。
まずは社労士資格を活かして業務に取り組み、必要性を感じた場合にダブルライセンスを目指すのがよいでしょう。
社労士のダブルライセンスの最大のメリットは年収アップ
ダブルライセンスにはデメリットばかりではなく、当然以下のようなメリットもあります。
- 年収が上がること
- 独立開業がしやすいこと
- 転職時に仕事が見つけやすいこと
- 多面的な視点で支援ができること
社労士資格とのダブルライセンスにおける最大のメリットは、年収アップが見込めることです。
できる業務の幅が広がるため仕事につなげやすいのも利点です。
何のために社労士ともう1つの資格を取得し、どのように業務に活かすかを考えて学習を開始しましょう。
社労士とのダブルライセンスにおすすめ資格
社労士とのダブルライセンスにおすすめ資格は、以下の7つです。
- 行政書士
- 中小企業診断士
- 税理士
- ファイナンシャルプランナー(FP)
- キャリアコンサルタント
- 司法書士
- 精神保健福祉士
いずれも社労士資格だけではカバーできない業務や、社労士の業務内容と親和性が高い資格となっています。
いずれも知名度が高く、単体でも需要の大きな人気資格です。
各資格の業務内容などを解説するので、どの資格を選ぶか迷っている方は参考にしてください。
まず考えるべきは行政書士!隣接分野で学習のコスパも高い
行政書士は、社労士とのダブルライセンスにおすすめの資格のひとつです。
隣接分野なので学習範囲が一部重複しており、学習のコスパも高いのが利点となっています。
行政書士とは、官公庁への許認可申請や権利関係の書類作成を行う資格で、開業支援などを業務として行えるようになります。
行政書士で開業をサポートした後、社労士資格で雇用契約書の作成や社会保険関連の手続きも行うなど、一気通貫で開業支援が可能です。
顧客にとっても複数の士業へ依頼しなくてよくなるため、手間を削減できる利点があり、顧客の獲得につなげやすいでしょう。
行政書士の資格取得におすすめの通信講座は、以下の記事で解説しています。
最強なのは中小企業診断士!独立開業後のサービスの幅が広がる
中小企業診断士は、中小企業の経営コンサルタントなどに活用できる資格です。
社労士資格とのシナジーを発揮しやすいのが特徴となっています。
中小企業診断士だけでは人事・労務管理の専門性が不足し、社労士だけでは経営全般の知識が不足するところ、両方の知識を持つことで経営者の課題にワンストップで対応可能です。。
労務管理や就業規則作成、人事制度の構築を社労士資格を活用して行い、労務視点を踏まえた経営改善提案、人件費を含めた資金繰りの提案などを中小企業診断士の知識で行います。
労務関連だけでなく、経営課題に対しての観点からもアドバイスができるようになるため、中小企業側にとっても窓口が一本化されてメリットが大きくなるでしょう。
中小企業診断士の資格取得におすすめの通信講座は以下の記事で解説しています。
中小企業診断士通信講座のおすすめランキング13選【2025】
税理士は顧客層である中小企業が多く社労士と被る
税理士が基盤とする客層は、独立する社労士が顧客基盤とする層と被るので営業しやすく、おすすめです。
両方のお仕事を受注できると顧問料も高くなるため、収入アップも見込めます。
ただし、税理士試験の難易度は高く、一般的には4,000時間以上の学習が必要とされているため両方取得するのは難度が高めです。
また、両方とも実務経験が重要なため、両方の実務経験を積むことも考えると負担が大きい点には注意してください。
その分、社労士と税理士のダブルライセンスの方は少なく、取得できれば大きなアドバンテージとなります。
税理士資格を取得するのにおすすめの通信講座は、以下でも解説しています。
FPを取れば会社と個人双方の視点に立てるようになる
FP資格を取れば、会社と個人双方の視点に立ったアドバイスができるようになります。
たとえば、社労士の視点では法的リスクを考慮しながら、適切な退職金・年金制度を設計したり、FPの視点では従業員に最適な資産形成のアドバイスを提供したりといった内容です。
退職金制度や企業型確定拠出年金(DC)の設計も活用可能で、独立よりも事業会社に勤めていく方なら重宝されるダブルライセンスです。
FPは3級から順を追って取得していく必要がありますが。2級で学科・実技ともに50%前後の合格率で、他のダブルライセンスと比べても比較的取得しやすいでしょう。
1級だと合格率10%前後と難易度が跳ね上がるので、必要に応じて取得してください。
FPの取得におすすめの通信講座は以下の記事でも解説しています。
FP通信講座おすすめランキング10選【2025】2級3級それぞれ比較
キャリアコンサルタントは事業会社の人事部で重宝される
キャリアコンサルタントとのダブルライセンスは、事業会社の人事部などで重宝される組み合わせです。
キャリアコンサルタントとは、キャリア形成や職業能力開発などに関する相談やアドバイスを行う資格です。
平成28年から国家資格になっており、社員のキャリア開発に寄与できます。
事業会社の人事部でキャリアを積んでいきたい方にはおすすめで、個人のキャリア支援 と 企業の人事・労務支援の双方向を実現できるのが利点となっています。
学科と実技の合格率がいずれも60%前後と高いため、合わせて取得しやすいのもメリットです。
司法書士があれば創業期からの継続支援がしやすくなる
不動産登記や法人登記などの登記申請などを行う司法書士は、創業期からの継続支援がしやすく顧客を囲い込みやすいのがメリットとなっています。
企業にしても、会社設立時には司法書士による 登記と社労士による社会保険手続き が必要です。
そのため、ダブル資格があれば 1人で業務を完結できるため、企業からの依頼を一括で受託できます。
司法書士試験の難易度は合格率5%前後で、3,000時間程度の学習時間が必要とされており、ハードルは高めな点は押さえておきましょう。
司法書士の取得におすすめの通信講座は以下の記事でも解説しています。
精神保健福祉士はメンタル疾患への興味関心があるならおすすめ
精神保健福祉士はメンタル疾患への興味関心があるならおすすめです。
精神障害者が抱える課題に対する援助や、社会参加に向けての支援を行う資格です。
社労士とのダブルライセンスを持つと、障害年金の申請手続きや障碍者雇用を行う企業へのアドバイスが可能となります。
年1回の国家試験に合格し、登録を行うことで取得が可能で、合格率は65%前後と高めです。
ただし、福祉系大学の卒業や4年以上の実務経験など受験資格の獲得が必要です。
受験資格を満たしている方はダブルライセンスを検討してもよいでしょう。
社労士の前に取る資格や取っておくと良い下位資格は?
社労士資格を取得する前に、取っておくと良い下位資格は以下の通りです。
- 簿記
- FP
- 行政書士
- キャリアコンサルタント
下位資格の定義は、社労士資格よりも難易度が低く、社労士の資格学習の基礎固めにも活用できるものを指します。
行政書士は合格率は12%前後と、社労士の6%~7%よりも少しだけ取得しやすく、必要な学習時間は同程度とされています。
また、簿記やFPは幅広く一般知識としても有効活用でき、ビジネススキルのひとつとして取得しておくのもよいでしょう。
いずれもそれなりの学習時間は必要なため、目標を設定して通信講座などで効率よく学習を進めるのがおすすめです。
社労士のダブルライセンスでよくある疑問
トリプルライセンスならどのような組み合わせが多い?
トリプルライセンスなら、たとえば以下の組み合わせがおすすめです。
- 社労士+行政書士+中小企業診断士
- 社労士+FP+キャリアコンサルタント
行政書士と中小企業診断士であれば、企業経営全般を俯瞰してアドバイスができるようになります。
また、FPとキャリアコンサルタントは、社会保険だけでなく生命保険や住宅ローンなどトータルでのライフプラン設計と、キャリアプランの両軸で顧客のサポートができるようになります。
また、司法書士や税理士など取得までに膨大な時間がかかるものに比べれば、1,000時間以内の学習でも取得可能です。
活用のしやすさと取得のしやすさ、双方の観点から上記の組み合わせはおすすめなので検討してみてください。
社労士でダブルライセンスを持っている人の割合は?
社労士でダブルライセンスを持っている方の、割合に関するデータは特にありません。
しかし、Xの口コミや社労士事務所HPなどを確認すると、多くのケースでダブルライセンスが見受けられます。
たとえば、「寺田税理士・社会保険労務士事務所」は全国でも有数のダブルライセンス事務所です。
ほかにも以下のような口コミがあり、ダブルライセンス自体はそう珍しくありません。
税理士×社労士のダブルライセンスは結構見ますね。
税理士×司法書士よりはるかに多い印象。
開業税理士だと社労士あれば、労務相談もできて社保・労保の手続きもできてメリット大きいです。
受かってますように!
引用元:X
私の事務所は保育園や認定こども園の顧問先が非常に多いので「保育チーム」がつねに情報共有・アップデートを行っている。
保育チームの中には社労士&保育士ダブルライセンスのメンバー、産業カウンセラーなどもいてかなりの最強チームだと思う。 ※一部抜粋
引用元:X
組み合わせはさまざまですが、ダブルライセンスが目的ではなく、業務に応じて必要な資格を取得することが重要です。
自身のキャリアパスも考えながらどの資格を取得するのかを選択しましょう。